「若いホステスが続かない。」
「最近の子は忍耐がない。」
「ちょっと嫌なことがあればすぐやめる。」
スナックの経営をされているママさんが、以前こんなことをおっしゃていました。ですが女の子が一度入店すると1年・2年と続く、定着のいいお店もあります。
経営者はとても大変なものだなあと思いつつ、何故女の子が長く続くお店と、女の子が全く続かないお店があるのかを考えてみました。
全てがこうだと言うわけではありませんが、もしかすると、女の子が続かない理由は、あなた(ママ)にあるかもしれません。
ママであるあなたは、
入店した女の子をしっかり褒めて上げていますか?
「ありがとう」と感謝を伝えていますか?
女の子をまとめる経営者として、正しい褒め方や感謝を伝えているのかなどを、もう一度振り返ってみて下さい。
女の子は言わばお店の商品です。実はあなたの間違った対応で、とんでもないダイヤモンドの原石を、みすみす辞めさせてしまっているのかもしれません。
正しい褒め方、接し方をしていますか?
管理できるのは5~7人が限界
あなたのお店は、女の子は何人いらっしゃいますか?
3人、4人…?
・
・
・
7人以上スタッフがいる場合は、ママひとりの管理は厳しいでしょう。
実は、「スパン・オブ・コントロール」という経営学に基づくと、一人のマネージャーが管理できる部下の人数は、5~7人が限界だと言われています。
7人以上いる場合は、マネージャーやチーママといった存在が必要になります。
そして女の子をまとめるのが苦手なママは、信頼できる人に役職を与え、任せることも考えなければいけません。
人数が多ければ多いほど、コミュニケーションやスタッフ管理は大変になります。
まずはスタッフの人数は管理可能の人数かを考えてみて下さい。
そしてスタッフの年代もしっかり把握しましょう。
年代で変わる価値観の違い
お店経営にあたって、お客様を大事にする前に、まずは女の子の育成・教育が大切ですよね。
『褒めて育てる』 そんなこと分かっているし、女の子に頑張ってもらうためにあれやこれや気を使っているのに、イマイチ伝わらないということ、ありませんか?
褒める・叱るにおいては、ほとんどが自分の価値観で言動・行動してしまってる場合があり、その結果、「ママはわかってくれない」「ママとは合わない」となって女の子がやめてしまうケースがあります。
価値観は人によって全く違う物です。
まずはざっくりと、年代別でもこれだけ違うことを覚えておきましょう。
ママとの価値観のズレが、女の子のやめる原因となっているのかもしれません。
◆40代~50代のホステス
この年代のホステスは、バブル時代を経験していて、お金や物に対して執着があります。ブランド物を持ち、高級車に乗って高級マンションに住むのがステータスな時代を過ごしています。
水商売が最も華やかだった時代を知っていて、「お金」にとても貪欲です。
「同伴頑張ったらボーナス〇〇円だすよ。」
「お客さん連れてきたらお給料アップするよ。」
頑張りはお金で評価することで、非常にやる気を出すのがこの年代のホステスさんです。
そしてホステスだけじゃなく、現在お店をされているママさんはこの年代が多いのではないでしょうか?
◆10代~30代のホステス
現在お店が最も必要とするのは、この年代かと思います。この年代の子達は、物やお金にあまり執着がありません。
何故なら、お金や物に溢れた時代に生まれてきているからです。
バイトをする理由も「何となくお小遣いが稼げて楽そうだから。」と時間給以上のことを求めない場合が多く、「頑張ったらお給料アップよ。」という言葉はあまり響かないのです。
お金ももちろん大切ですが、それよりも、
・その場所が楽しいか楽しくないか?
・ママが優しいか優しくないか?
・自分はママの役に立っているのか?
といった、お金は2の次で、充実さや自分の存在価値をメインに考えます。
この年代のホステスには、お給料アップで頑張ってもらうのではなく、
「〇〇ちゃんがいてくれるからこの場が盛り上がる。」
「〇〇ちゃんは本当に場を和ませるのが上手ね。」
など、存在を褒めてあげることで、自分の価値を認識し頑張ってくれます。
お金よりも、ママに認めて貰いたい!という欲求が強いのが、30代以下の特徴です。
しかし残念なことに、40代~60代のママさんは、ここの価値観がズレてしまっている人が、非常に多いのです。
何故なら自分のホステス時代は、お客様をたくさん呼んでたくさん稼ぐことが価値でステータスだったから。40代~60代のホステスは、自分が結果を出してきたからこそ、結果を重視しがちなのです。
つまりはママになりホステスを褒める場合も、結果しか褒めない事が多く、プロセスを褒めることに欠けています。
今の若いホステスさんを褒めるのに必要なのは、【お客さんをお店に呼んだ】という結果だけを褒めるのではなく、【呼ぶまでにした努力 】または【その他の部分】 も褒めてあげなければいけません。
では、次に出来るママと出来ないママの褒め方を見ていきましょう!
褒め方の技術
褒め方の違いの例として、一つご紹介します。
できないママのNG褒め方
「今日可愛いドレス着てるじゃん。どうしたの。誰か来るの。」
できるママのOK褒め方
「まあ、今日は可愛いドレス着てるわね。とっても似合ってるわ。」
この違いわかりますよね。可愛いドレスに対し褒めてはいますが、上の方は非常に嫌味ったらしいのがわかりますか?
ホステスの変化に気づいたのはいいものの、このたった一言でやる気が上がるか下がる大きく変わります。変化に気づいてても、何も言わないママも当たり前ですがよくありません。
女の子は、お客様の前にママに認められたいのです。
わかりやすく、出来るママと出来ないママの褒め方の違いをまとめてみました。
出来ないママの褒め方と出来るママの褒め方の違い
褒め方の下手なママ
・そもそも褒めない・感謝しない
これはもう論外。ママとして失格です。まずはホステスの変化に気づき、褒める練習や感謝する練習をしましょう。
・結果を残したホステスしか褒めない
お客様と同伴したホステス、お客様を呼んだホステスしか褒めないのはNGです。ラインや電話をしたなど、呼べていなくても努力しているホステスも褒めることが大切です。
・〇〇ちゃんを見習ってみて、〇〇ちゃんをお手本にしてみて
人気のあるホステスと比べるのは絶対にいけません。人それぞれ個性があり、プライドもあります。良かれと思って言ってしまうママが多いですが、他人との比較は絶対にNGです。
褒め方の上手なママ
・お客様を呼べないホステスもプロセスや他の部分で褒める
例
「いつもラインでやり取りしてくれてるのね。ありがとう。」
「 掃除頑張ってくれてありがとう。」
「 いつも遅刻しないで真面目に来て偉いわね。」
「 嫌な事言われてもいつも笑顔で我慢してすごいね。」
出来るママは、結果だけでなくあらゆる角度から人を褒めることができます。
これが出来るママは、10代~30代、40代以上の全てのホステスから信頼を得ることでき、結果しか褒めないママはお金のために頑張るホステスしかついてきません。
田舎の安い時給のスナックに若くて可愛い子が多いのに、都会の高時給のラウンジには40代以上のホステスしかいなかったりすることに、疑問が湧いたことってありませんか?
お金に価値をあまり見出していない30代以下のホステスが、お給料が安くても働きやすい所に行くのは、実はこういった理由だったりするんですね。
さらにお金のためだけに頑張っているホステスは、今より好条件のお店から引き抜きが来れば、お店を躊躇なく変えるでしょう。
しかしママの存在や信頼で働いているホステスは、ママが好きで働いているので、引き抜きに応じません。
長くお店に残ってくれるのです。
若くて戦力になるホステスさんを確保したいのであれば、価値観のずれを受け入れ、正しい褒め方をマスターしなければいけません。
価値観の違いを受け入れる
時代の流れは大きく変化しています。
「昔は…」
「私達のホステス時代は…」
水商売が絶頂だった時代と、【今】を比べ過去の栄光を自慢してしまうママが多くいます。
正直に言うと、バブル時代は【夢】 、水商売の絶頂時代はそこそこの容姿であれば、誰だってお店に出勤するだけで普通に稼げた時代です。
【今】 の時代はお客様はお金を使いたがらず、お店に来てもらうことは難しいのです。
そんな難しい【今】の時代にお客様を呼べるホステスは、昔のホステスとは比べ物にならないほどレベルが高いでしょう。
その認識を間違え、「昔のホステスは凄かった」と自慢してしまうと、周りからは滑稽に見えてしまいます。
ジェネレーションギャップを受け入れ、過去の栄光や考えを一旦捨て去ることが必要です。時代とともに会話や営業方法だけでなく、ホステスの接し方も変えなければいけないのです。
若いホステスさんに長く働いてもらうためには、価値観の違いを受け入れるしかないのです。
存在を褒めること
上手くいってないホステスほど、褒めてあげなければいけません。
しかし40代以上のママは、上手くいってない子ほど褒めることができません。
何故ならママは、ホステス時代も人気の合った人が多く、何故上手くいかないのかを理解できないからです。
「こうすればいいのに。」
と思うことが多く、相手に自分の価値観を押しつけてしまう傾向があるのです。
上手くいかないことに着目し、それを改善しようということも大切ですが、まずは上手く行っていること、小さなことでいいので褒めて上げるようにしてみて下さい。
褒めることが苦手なのであれば、まずは小さなことでいいので、「ありがとう。」を言えるようにしましょう。
「お疲れ様。」だけでなく、「お疲れ様。今日もありがとう、気をつけて帰ってね。」
一言を付け加えるだけで、女の子は嬉しくなってしまうものなのです。
まとめ
人は物事を自分の経験で判断してしまいがちです。
そしてその経験から、考え方を相手にも押しつけてしまいます。
そうなるともう理解しあうことは永遠にできません。
その時はわかったふりをしていても、心の中では「ママとは合わないからやめよう。」と感じています。
女の子が辞める原因は、女の子に問題があると思っているママや経営者は多いですが、実はトップであるあなたに原因がある場合は非常に多くあります。
まずは価値観のズレを受け入れ、相手の存在を認め、褒めること・感謝することから初めてみて下さい。